🍶『哲酒知拳:風狂なる一夜』
- 2025.04.16
- 月刊芳美
🍶『哲酒知拳:風狂なる一夜』
【第一幕:開会の一献と観光協会決算問題】
――場末の灯、陶器の杯が鳴る。
カズ爺(言い放つ声で):「まああれだ、閃きとして、観光協会内部のガバナンスの欠如、それから情報の不透明さっていうところが浮いたというか沈んでいる、と」
藤原喜明(ぐいと一杯空けながら):「なるほど。つまりアレだ、これは“アナーキズム的無能体制”の露呈ってことだな? いやむしろ、象徴的自壊――フーコーが笑ってるぜ」
カズ爺:「あ?知は権力なりってやつだろ。だがここに現れるのは、権力なき知でもなければ、知なき権力でもない。“知なき簿記”だ、勃起無き泣きEDだ、なんてね?!笑」
藤原:「うまい! それ以上の技はねぇわ……が、しかしな、俺が注目したいのは“再提出”のあたりだ。これはな、時間の強度を巻き戻す試みなんだよ。つまり“会計”を通して、過去に触れようとする儀式なんだ。ニーチェもびっくりの“反永劫回帰”だぜ?」
カズ爺:「ふむ。ならば臨時総会の未開催は、“沈黙の聖餐”というわけじゃな。情報を共有せず、責任を分有しない――この構図、まさしく現代の神話じゃ。神々は黙して語らず、“税務署”だけが声を上げた、と」
――盃はすでに数えて五つ目。
【第二幕:酔いの深度と比喩の応酬】
藤原:「お前な、さっき“神話”って言ったが、これは“配水管=龍脈”って話にも通じるよな。腐った龍脈が地霊を怒らせるわけだ。墓石の横に通すとか、風水的に殺生だぜ?」
カズ爺:「ん~、それがこの国の習合性ってやつだ。土着信仰と上下水道のラビリンス的マリアージュ?笑、まさに“近代合理主義の終焉”っていう象徴だ。おい、藤原、てめえ、意外とデリダ的だな?」
藤原:「俺はな、デリダよりも“長州力”の方がわかりやすいって言いたいが……確かに、“意味の差延”ってやつをリングで叩き込んできたつもりだ」
――ここで、酌婦が再度酒を注ぎに来るが、二人とも手で制す。
カズ爺:「女将、すまん、俺たちは今、形而上的テイスティングの最中なんでな。香気が混ざると意味も混ざる」
藤原:「今夜のプロレスは、ロープなし、ルールなし、“メタフィジカル・バトルロイヤル”だ」
【最終幕:敗北と勝利の混沌】
藤原、ふらつく。
カズ爺、淡々と盃を重ね、表情一つ変えず。
藤原:「ぐぅ……わかんねぇ、もう一杯が……どこだ……」
カズ爺:「藤原、お前は既に死んでいる笑、お前のエートスは今、沈没。理性も筋肉も酒には勝てん」
藤原(床に伏しながら):「……ああ……哲学ってやつは、キスより強ぇのかよ……」
語り部(脇で見ていたMAZDA):「その夜、神々は笑い、知は泥酔し、酒は真理を溶かした。
リングは畳。勝者は老爺。敗者は、世界そのものだった。」
【後日談】
翌朝。
町の通りでカズ爺はこう呟いたという。
「俺は藤原に勝っちまったんだよ。哲学と酒で」
「もしかしたら観光協会の決算よりもスッキリした終わり方だったかもな…笑」